
「筋トレと言えば、プロテイン」
「筋トレと言えば、プロテイン」。
こんな風に断言しても誰もが普通に納得しそうなくらい、筋トレとプロテインは密接な関係があります。
実際に筋トレに取り組んでいる方はもちろん、筋トレを全く行ったことがなくても「筋トレ=プロテイン」というイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。
しかし、筋トレとプロテインの関係について深く知っている方は、意外と少ないかも知れません。現在まさに筋トレ中という方も、プロテインについてより詳しく知ることができれば、さらに効率的な形でボディメイクを進めることができるはずです。
そんなプロテインについてここでは、筋トレとの関係から詳しく説明しようと思います。
プロテインを飲むのに最適なタイミングやポイント、注意点などもお伝えしますので、日々のトレーニングに活かしてもらえると幸いです。
そもそもプロテインって?
そもそも、プロテインとは何かということについて、まずは説明させてください。
プロテインは、日本語でずばり「タンパク質」そのものを表します。
牛乳や大豆から抽出したタンパク質を粉末状にしたものが、いわゆるプロテインになるわけですね。
「プロテインはタンパク質の一種である」というイメージがありますが、プロテインとタンパク質は全く同じものです。
ビタミンやミネラルその他の栄養素も含む場合も多いですが、主成分はあくまでタンパク質となります。
タンパク質は、人間の体内では筋肉の「材料」になる栄養素です。筋肉以外にも、内臓/皮膚/髪の毛/爪といった部位の「材料」となり、またホルモンやヘモグロビンなど様々な形で身体の中に存在する、大事な栄養素と言えるでしょう。肉/魚/大豆製品/卵/乳製品といった食品に含まれるため、普段の食事からでも摂取することができます。
プロテインは一般的に、このタンパク質を補う栄養補助食品/サプリメントとして流通しています。
水や牛乳やジュースなど好きな飲み物と一緒にプロテインシェイカーに溶かして飲用できるため、手軽かつ簡単にタンパク質を摂取できるのが大きな利点です。
筋肉の合成回復に必要なタンパク質を補うためにプロテインを利用している方も、多いかも知れませんね。
1日に必要なタンパク質の量
では、私達の身体はいったいどれくらいのタンパク質が必要なのでしょうか。
人間の身体に必要なタンパク質の量は、年齢や性別によって変化はあるものの、18歳以上であれば男性の推奨量は60g/日、女性の場合は50g/日ほどです。運動をしていない人であれば、概ね「体重×1g」くらいの量でも問題はないと言われています。
筋トレや運動の習慣がある人であれば、もう少しタンパク質が必要です。具体的に言うと、平均値の1~2倍ほどタンパク質を摂取することが推奨されています。運動量/年齢/筋肉量等に応じて決めるのが、良いでしょう。
筋トレの目的によっても、摂取すべきタンパク質の量はやや変わります。筋肉を増強するために筋トレをしているなら「体重×1.6~1.7g」、筋肥大が目的なら「体重×1.5」、筋肉を維持するためなら「体重×1.2~1.4g」ぐらいが目安となります。
プロテインのメリット
プロテインの最大のメリットは、こうしたタンパク質の補給を手軽にできることです。
肉/魚/卵などと違い、粉末を水に溶かして飲むだけなので、わざわざ食事を用意する手間がかかりません。お肉など食べる時間がなくても、簡単かつ素早く効率的にタンパク質を摂取できます。
必要な量のタンパク質を必要な時に摂取できるのも、プロテインの利点でしょう。
身体に吸収しやすい形で商品化されているため、筋肉の修復や疲労回復に重要な働きかけをしてくれます。
免疫力の低下を抑える働きを持ち、髪/皮膚の生成にも効果があるため、美肌になることもあります。
またカロリーや脂質を抑えたプロテインは、ダイエット中の利用も効果的です。
ダイエット中は、脂肪を減らすだけでなく、筋肉量を増やすことも重要になります。そんな時、脂質を抑えながらタンパク質を手軽かつ効率的に摂取できるプロテインは、心強い味方になってくれるでしょう。
代表的なプロテインの種類
タンパク質を補うために利用されるプロテインですが、種類はいくつかに分かれます。
いずれも、タンパク質が主成分であることに変わりはありません。ただ、原料が違うため、身体への吸収速度などは異なります。飲用する目的や時間帯に応じてそれぞれの種類を選択すると、より効果的です。
ここでは、数種類あるプロテインの説明をしておきましょう。
【ホエイプロテイン】
牛乳を原料とする、高カロリーで栄養が凝縮したプロテインです。
「ホエイ」とは乳由来の透明な成分のことで、「乳清」という別名も持っています。
吸収が早いのが特徴であり、運動/トレーニング直後に不足しがちなタンパク質を補うのに最適です。
【カゼインプロテイン】
牛乳を原料とするプロテインです。
身体にゆっくりと吸収されるため、タンパク質を持続的に蓄えることができます。就寝前の飲用が、おすすめです。
【ソイプロテイン】
大豆を原料とするプロテインです。大豆からタンパク質を抽出する形で作られています。
カゼインプロテインと同じく身体への吸収はゆるやかで、摂取にかかる時間は5~6時間ほど。
腹持ちが良いため、ダイエット向きのプロテインと言えるでしょう。
【ホエイプロテインアイソレート】
余分な要素を取り除くことで、通常のプロテインよりも吸収スピードを速くしたプロテインです。
タンパク質の含有量が多く、カロリーを抑えている点も、特徴となっています。通常のプロテインを飲用するとお腹を壊しやすい方には、特におすすめです。
それぞれのプロテインは、吸収スピードやカロリーの量などの点で違いがあることが、わかったと思います。
こうした違いを認識し、その時々の目的や身体の状態に合わせる形で利用するのが大切です。
プロテインを飲むおすすめのタイミングは?
プロテインの効果を最大化するには、「いつ飲むか」も重要です。
ここからは、そんなプロテインを飲むタイミングについて説明していきましょう。
おすすめのタイミングは、ずばり「トレーニング後」「就寝前(夜)」「起床(朝)」の3つです。
【トレーニング後、そして運動前と運動中】
トレーニングの直後は、プロテイン摂取に一番良いタイミングとなります。
激しく活動した筋肉が栄養補給と回復を行うため、身体へ栄養を補給できる絶好のチャンスになるわけです。トレーニングなら直後の30分以内、普通の運動なら終わって45分間以内が、ベストタイム。この時間に吸収の早いホエイプロテインを飲むと、筋分解を抑制し筋合成を促すことができます。運動後45分間以内であれば、筋肉へ送られるアミノ酸も通常の3倍にまでアップします。
筋肉量を増やしたいという方には、筋トレ直後のプロテイン摂取が特におすすめです。
筋繊維の細胞の数は実は生まれた時から決まっており、「筋肉がつく」というのは一本一本の筋繊維が太くなることを指します。
この太くなる作用を担うのが、タンパク質です。なので、タンパク質が不足していると、せっかくトレーニングを行っても筋肉量アップにつながりません。
筋肉の増強は、超回復のページで解説したように、トレーニング後の休み時間において回復として行われます。なので筋肉を増やしたい場合は、トレーニング後のプロテインでタンパク質を補給しましょう。運動後30分以内に摂取することが、筋肉量・筋力アップには最適です。
プロテインは、トレーニング後の栄養摂取において単純に便利という側面も持ちます。
トレーニングで疲労した身体には、しっかり栄養を届ける必要があります。しかしトレーニング後は、疲れてご飯を食べる気が起こらないことも珍しくありません。こういう時、素早く手軽に栄養を摂れるプロテインは、実に便利です。
トレーニングパフォーマンスを上げることができる点では、トレーニング/運動を行う前のプロテイン摂取もおすすめです。
糖質/タンパク質が入ったドリンクを運動の10分前に摂取すると、運動開始時には筋肉が取り込む糖の量が増加してエネルギー源として使用されるため、持久力が高まると言われています。
また運動中も15~20分ごとに栄養を補給すると、運動効果を高めたり、あるいは回復を早めるための基礎を築いたりできると言われています。
【就寝前(夜)】
就寝前も、プロテイン摂取にはいいタイミングです。
人は就寝中、筋肉を育てる成長ホルモンを分泌し続けていますが、吸収の遅いカゼインプロテインを飲むと、この成長ホルモンの働きを促進することができます。
成長ホルモンは、子どもの身長を伸ばす役割をすることで知られていますが、大人の骨格や筋肉を発達させたり、脂肪を分解したりする作用も持っています。大人にとっても重要なホルモンなのです。この成長ホルモンの働きを促進すると、より筋肉を大きく育てられる可能性があるわけです。
逆に、シェイプアップしたいからといって空腹のまま眠りについてしまうと、成長ホルモンがうまく働かず傷ついた筋肉を十分に修復できないかも知れません。
睡眠前に30~40gのカゼインタンパク質を摂取すると、就寝中の筋肉のタンパク質合成と代謝率の向上が見られることを、国際スポーツ栄養学会も認めています。ですので、筋肉増強のためには就寝前にプロテインを摂取しましょう。ただし就寝直前の飲食は胃腸に負担をかけてしまうので、布団に入る直前は避けて就寝の数時間前に飲むのがおすすめです。
【起床(朝)】
起床(朝)時も、プロテイン摂取にはいいタイミングです。
朝目覚めた時、人間の身体は水分や栄養が全般的に不足しています。この時に、ホエイプロテインを飲むとより効果的です。身体へタンパク質を補給しましょう。
「運動前、直後45分以内」「就寝前」「朝食時」以外のタイミングとしては、脂質を抑えた食事でタンパク質が不足している時などが挙げられます。また、体調を崩した時や、高齢者のタンパク質不足に対応する際にも、プロテインは有効でしょう。
プロテインを作る際のポイント
飲用するプロテインを、多くの方は御自分で作っていると思います。
実はこの作り方によっても、プロテインはその効果が変わってきます。ですので、作る際に気をつけてもらいたいポイントについても、解説させてください。
プロテインを作る時は、まずは作り過ぎに気をつけましょう。
人間が一度にタンパク質を吸収できる量は、約40~50gと言われています。そのため、プロテインを一度にたくさん飲んでも意味はありません。むしろ、一度に大量に摂取することでお腹を壊すリスクの方が高まります。
プロテインは、1日分を一度に飲むよりも、2~4回に分けて飲む方がベターです。また摂取には、2時間以上の間隔を開けるべきです。こうしたことを意識して、プロテインを作る際には量の多さに気をつけてください。
プロテインを実際に作る時は、水を先に入れて後にプロテインの粉末を入れましょう。そうすると、ダマになりにくく、スムーズに飲めるものが仕上がります。よく振ることも、当たり前と思われるかも知れませんが、もちろん大切です。
プロテインを溶かすのは、手軽かつ無難な水が基本となります。ほどよく冷えた水割りは、特においしく飲めるでしょう。減量中の方には、他にカロリーがない水を特におすすめします。
腹持ちを良くしたい時は、牛乳や豆乳を用いるのもおすすめです。牛乳・豆乳は、吸収スピードが水よりゆっくりになりますが、その分、空腹感を感じにくいというメリットがあります。間食や寝る前などにプロテインを摂取する際は、牛乳・豆乳に溶かすのがおすすめです。牛乳・豆乳はプロテインとの味の相性も良く、水で溶かすより「飲みやすい」と感じる方も多いでしょう。
プロテインを温めて飲用する際は、人肌程度の温かさにするよう心がけてください。
特にホエイプロテインは、70℃を過ぎると熱変性を起こすため、加熱は避けた方が無難かも知れません。熱変性とは、温度によって構造が変化して固まってしまう性質のことで、「生卵からゆでたまごへの変化」が代表例です。熱で固まってもホエイプロテインの栄養成分は変わりませんが、ダマのようになって飲みづらくなり、また消化に時間がかかって吸収も悪くなります。
人肌以上の熱いホットでプロテインを飲みたい場合は、70℃を超えても熱変性が起きにくいカゼインプロテインやソイプロテインを選ぶのがいいでしょう。
トレーニング後にプロテインを飲む際は、一緒に糖質を摂るのもおすすめです。糖質は、トレーニングで消費した筋グリコーゲンを回復させ、筋分解を抑制する効果が期待できます。また、ちょっとした炭水化物と一緒にプロテインを摂取すると、吸収率はさらに上がるでしょう。
プロテインに飲みにくさを感じた時は、ジュースなどで味を変えてみるのも良い方法です。
ジュースやスポーツドリンクに含まれている糖質は、タンパク質の吸収をスムーズにする効果があります。また柑橘系ドリンクに含まれるクエン酸は、疲れからの回復に効果的です。
果汁100%のオレンジジュース/アップルジュースといった柑橘系ジュースや、またはスポーツドリンクなどを、プロテインの「味変」ではおすすめします。
筋肉をつけたい場合は、適度な量の糖質を一緒に摂取するのも良いでしょう。
体内に糖質が不足した状態でプロテインを摂取すると、不足した分のエネルギーを補うためにプロテインのタンパク質が消費されてします。プロテインが筋肉の材料にならないわけです。こうした事態を避けるためにも、場合によっては糖質と一緒の摂取をおすすめします。
プロテインを飲む際の注意点
プロテインを作れば、後は飲むだけです。最後に、プロテインを飲む際の注意点も説明しましょう。
注意していただきたいのは、過剰摂取で生じるカロリーオーバーと内臓負担がかかる可能性、そして食事バランスの3点です。
【カロリーオーバー】
プロテインは、一般的に知られるように低カロリー・低脂質・低糖質ですが、カロリーが完全にゼロというわけではありません。
タンパク質には糖質と同じく1gあたり約4kcalのエネルギーがあるため、プロテインであっても過剰摂取はカロリーオーバーにつながるわけです。また過剰摂取は消化不良を招き、これが脂肪の蓄積につながる場合もあります。摂取しすぎると、普通に太ってしまう可能性があるわけですね。
基本的には「体重×1~2g」を目安に量を決めて摂取し、飲み過ぎには注意してください。
【内臓負担がかかる可能性】
プロテインの主成分であるタンパク質は、腸内に生息する悪玉菌にとって「大好物」です。
悪玉菌は、3種類ある腸内細菌の1種であり、人体の健康を害する細菌のこと。この悪玉菌が、身体が吸収しきれず腸内に送られたタンパク質を分解し、硫化水素やアンモニアなどの毒素を作り出すことがあるのです。
悪玉菌が作る毒素は腸内環境の乱れを引き起こし、下痢や便通悪化などが生じる可能性があります。こうしたリスクを避けるためにも、プロテインは過剰摂取は避け、適量で利用するように心がけましょう。
【食事バランス】
プロテインを利用する際は、1日の食事バランスを考えた上で摂取するようにしましょう。
先程も述べましたが、タンパク質は1度にたくさん摂取しても全てが身につくわけではありませんし、あまり大量に摂取すると腸内環境が乱れます。食事から摂取するタンパク質とプロテインの量をきちんと組み合わせて、摂取量を考えましょう。
食事の代わりにプロテインを摂ることは、おすすめできません。プロテインは、あくまでタンパク質の不足分を補うための飲み物です。ただ、主食としてではなく、おやつ代わり程度としてプロテインを飲むことは、おすすめします。特にカゼインプロテインやソイプロテインは、吸収が遅いため腹持ちが良く、おやつ向きかも知れません。
以上、プロテインのメリットや飲み方などを説明させていただきました。
とても便利で効果も高いプロテインですが、その分、誤った飲用を行うとカロリーオーバーの心配などもあることが、ご理解いただけたかと思います。
ひょっとすると、タンパク質が人間の身体にとっていかに大切かということも、再認識してもらえたかも知れません。
これからも、この大切なタンパク質としっかり向き合うために、プロテインと上手に付き合ってみてはいかがでしょうか。